「滞在」と「在留」の違いとは?
「滞在」と「在留」の違い
外国人が日本にいることを「滞在」と表現する場面は多くありますが、出入国在留管理局(いわゆる入管)では、単なる表現の違いでは済まされない、明確な法的区別が存在します。
この記事では、「滞在」と「在留」という用語の違いを、入管実務の視点から、専門用語を交えて詳しく解説いたします。
滞在
一般的には、ある場所に一時的にとどまることですが、法令上は、「上陸許可」を受けた外国人が、日本にいる状態を広く指す言葉です。
「短期滞在」や、不法滞在者も「滞在者」として含まれる場合があります。
在留
「在留資格」に基づいて、日本に中長期間(3か月以上)合法的に居住している状態です。
「在留カード」の交付対象となります。法的審査の対象になります。
「滞在」から「在留」へ至るまで
外国人が日本に入国し、中長期間(3か月以上)活動を行うには、以下のプロセスが必要です。
①空港などで「上陸許可」を受ける
②入国後、「在留資格」が付与される
③「在留カード」が交付される
④活動内容に応じて「在留資格変更」「在留期間更新」などを行う
上陸後に正式な「在留資格」を得て生活している状態が「在留」であり、それ以前、あるいは資格のない一時的な日本滞在は「滞在」と表現されます。
「滞在」の事例:短期滞在と不法滞在
● 短期滞在(Temporary Visitor)
観光・親族訪問・商用会議などの目的で、最長90日まで滞在可能です。
在留資格の一種ではありますが、就労活動は禁止されています。
→ 「短期滞在」ビザでの就労は一切禁止です。
たとえ報酬がなかったとしても、就労と判断されれば資格外活動違反となります。
● 不法滞在(Overstay)/不法残留
在留資格や在留期間を失った後も出国せずに滞在し続けている状態です。
合法的な「在留」とは明確に区別されます。入管法第70条に違反し、退去強制の対象となります。
※入管法第70条
不法入国や不法残留、資格外活動など、出入国管理に関する法令違反に対する刑事罰を規定しています。これらの行為が確認された場合、懲役刑や罰金刑といった処罰の対象となるほか、退去強制の理由にも該当し、強制送還される可能性があります。
相談事例
観光ビザ(短期滞在)で来日し就労、強制出国
【相談内容】
東南アジアから来日したCさんは、「観光目的」で90日の短期滞在ビザで来日しました。知人の紹介で飲食店の手伝いを始め、簡単な調理補助を行っていました。
店側も知らずに就労させてしまいました。
短期滞在ビザでは、「労働行為」とみなされれば資格外活動違反になります。
Cさんは「少しの手伝いなら問題ない」と思っていましたが、強制出国となってしまいました。
また、雇用主も「不法就労助長罪」に問われる事態に発展しました。
当事務所のサポート
外国人本人様も、受け入れる企業様も、「正しい知識」が安全な在留と雇用を守ります。
当事務所では、在留資格に関するご相談を多数受け付けております。
下記のご相談も過去にございました。お気軽にご相談ください。
・採用予定の外国人の就労可否
・不法残留、資格外活動の防止