ビザ申請における企業の「カテゴリー」区分について
カテゴリー
『技術・人文知識・国際業務』『企業内転勤』『経営・管理』などのビザでは、申請の際に「カテゴリー」という区分が影響することがあります。外国人を採用する際、外国人本人の学歴や職歴が要件を満たしていることはもちろんですが、所属機関(雇用主となる会社や団体)のカテゴリー
要件も重要な審査ポイントとなります。
所属機関のカテゴリーによって、提出書類の省略可否や審査の厳しさが変わるため、事前に確認しておくことが不可欠です。
カテゴリー区分
- カテゴリー1:大企業や上場企業など、経営が安定していると判断される会社
- カテゴリー2:中堅企業など、一定の規模と安定性を持つ会社
- カテゴリー3・4:中小企業や個人経営に近い規模の会社
入管は、カテゴリー1を最も安定した企業と位置付けているため、カテゴリー3・4の企業は、
カテゴリー1・2に比べてより細かい(厳しい)審査を受ける傾向があります。
企業規模(カテゴリー)の影響について
在留資格の申請では、所属企業の規模が審査に大きく関わります。
企業の規模によって、必要書類や審査期間が変わることもあり、入管は「安定的・継続的に経営できる企業かどうか」を重視して判断します。
一般的には、企業規模が大きく給与をしっかり支払っている企業ほど、信頼性が高いとみなされます。
企業規模はどう判断されるのか?
従業員数や資本金・売上高ではなく、次の点から判断されます。
※「給与所得の源泉徴収票合計表に記載された源泉徴収税額」の見方は、カテゴリー2、3では赤い枠内の金額が基準になり、金額が1000万円以上の場合はカテゴリー2,それ未満の場合はカテゴリー3になります。
審査期間
在留資格の審査は、必ずしも申請順に処理されるわけではありません。
特に「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」の場合、早ければ2週間程度、長ければ7か月以上かかることもあります。
この審査期間に影響する要因のひとつが「カテゴリー」で、一般的にカテゴリー1・2の企業の方が、カテゴリー3・4に比べて早く結果が出やすい傾向があります。
所属機関のカテゴリー要件・申請時の必要書類
カテゴリー要件
入管では、外国人を雇用する企業・団体を次の4つのカテゴリーに分類しています。
このカテゴリー分けは、企業の信用力や納税実績に基づき、入管が提出書類や審査の範囲を決めるためのものです。
カテゴリー | 該当する所属機関の条件 |
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カテゴリー1 |
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カテゴリー2 |
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カテゴリー3 |
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カテゴリー4 |
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必要な書類
カテゴリーによって、申請時に必要な書類が異なります。カテゴリー1が最も添付資料が少なく、カテゴリー4が最も多くなります。 『技術・人文知識・国際業務』の海外から申請人を招聘する場合の【在留資格認定証明書交付申請】のケースを例に確認してみましょう。
カテゴリー | 必要書類 |
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共通 |
・在留資格認定証明書交付申請書 ・証明写真(3cm×4cm) ・返信用封筒(404円の切手を貼付したもの) ・専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、 専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書 |
カテゴリー1 |
下記いずれかの書類 ・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し) ・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し) ・イノベーション創出企業であることを証明する文書(補助金交付決定通知書の写し等) ・「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(認定証等の写し) |
カテゴリー2 |
下記いずれかの書類 ・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) ・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(承認メール等) |
カテゴリー3 |
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) ・申請人の活動の内容等を明らかにする資料(労働条件通知書、役員報酬関係書類、所属団体の文書等) ・申請人の学歴・職歴等を証明する文書 ・履歴書(従事した職務・機関・期間を明示したもの) ・登記事項証明書 ・事業内容を明らかにする資料(会社案内書、沿革・役員・組織・主要取引先・実績等を記載した文書) ・直近の年度の決算文書の写し |
カテゴリー4 |
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し) ・申請人の活動の内容等を明らかにする資料(労働条件通知書、役員報酬関係書類、所属団体の文書等) ・申請人の学歴・職歴等を証明する文書 ・履歴書(従事した職務・機関・期間を明示したもの) ・登記事項証明書 ・事業内容を明らかにする資料(会社案内書、沿革・役員・組織・主要取引先・実績等を記載した文書) ・直近の年度の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書) ・法定調書合計表を提出できない場合の補足資料 - 国法人の源泉徴収免除証明書等 - 給与支払事務所等の開設届出書の写し - 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書 - 納期の特例承認通知書 等 |
まとめ
以上、ビザ申請における「カテゴリー」についてご説明しました。
一般的には、事業規模が大きい企業ほど提出書類が簡略化され、審査期間も短くなる傾向が
あります。
しかし、企業規模が小さいからといって、それだけで申請が不利になるわけではありません。
大切なのは、申請人の業務内容や雇用の必要性をきちんと立証できるかどうかです。
場合によっては、入管ホームページに掲載されている以上の資料を揃える必要もあります。
確実な許可を得るためには、状況に応じた丁寧な準備が欠かせません。
ビザ申請に不安を感じる方は、ぜひ当事務所にご相談ください。