「技術・人文知識・国際業務」ビザ申請のポイント|審査を通す理由書の書き方
「技術・人文知識・国際業務」ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)の申請では、申請理由書の提出は必須ではありません。しかし、円滑な許可取得を目指すうえで、非常に重要な書類といえます。
特に、外国人を採用する企業が作成する「雇用理由書」は、申請人の専門性と実際の業務内容との関連性を明確に示すために欠かせないものです。
この理由書では、申請人が在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件を満たしていることを、卒業証明書・成績証明書・会社の登記事項証明書・決算報告書などの提出資料と関連づけながら、具体的に説明することが求められます。
なぜ申請理由書は重要なのか?

入管庁では、申請理由書について特定の書式や定められた書き方は設けられていません。
しかし、この書面は、提出される多数の資料がどのように許可要件を満たしているのかを入管審査官に分かりやすく示す「説明書」として、非常に重要な役割を担います。
とりわけ「雇用理由書」では、採用後に申請人が実際に担当する業務内容を具体的かつ詳細に記載し、その業務が申請人の学歴や専門知識とどのように関連しているのかを論理的に説明することが求められます。
こうした構成により、単なる資料の羅列にとどまらず、企業と申請人の間に存在する実質的な必要性と整合性を明確に示すことができます。
申請理由書に記載すべき4つの重要ポイント
企業が押さえるべき4つのポイント
外国人を採用する際、「申請理由書」は入管審査を左右する重要な書類です。
企業として「なぜこの外国人を採用するのか」「どのような業務に従事させるのか」を明確に説明することで、審査官に会社の信頼性と採用の妥当性を伝えることができます。
1. 会社概要 ― 信頼できる受入先であることを示す
まずは、外国人を受け入れる企業がどのような事業を行っているかを具体的に説明します。
主な記載項目は以下のとおりです。
- 主な事業内容:会社がどのような業務を行っているか
- 従業員数:企業規模を示すデータ
- 拠点情報:店舗・事業所の所在地や数
- 資本金・売上などの実績:経営基盤や安定性を示す指標
- 今後の事業展開・社会的な取り組み:企業の将来性・社会貢献性を強調
これらを明確に記載することで、入管に対して「安心して外国人を受け入れられる企業」であることをアピールできます。
なお、法人印の押印は義務ではありませんが、信頼性を高めるために推奨されます。
2. 申請人の経歴 ― 専門性と誠実さを伝える
次に、採用予定者(申請人)の学歴や職歴などを通じて、その人が就労ビザの要件を満たしていることを示します。
- 最終学歴:学校名・専攻内容
- 実務経験:これまでの職務内容や期間
- 保有資格:専門性を裏付ける資格やスキル
- 留学生の場合:出席率や成績など、学業への取り組み姿勢も重要
特に留学生の場合は、学業に真面目に取り組んできた姿勢を具体的に示すことで、「適正に在留資格を利用する人物」であることを証明できます。
3. 採用理由 ― 「なぜこの人なのか」を明確に
この項目では、申請人を採用する具体的な理由を説明します。
単なる「人手不足だから」ではなく、申請人のスキルや知識が会社の業務にどう貢献するかを明確に示すことが大切です。
- 募集背景:欠員補充、新規事業、海外展開などの理由
- 経歴との関連性:学んだ専門分野・経験がどの業務に活かされるか
- 採用効果:業務改善・売上拡大・多言語対応など、期待できる成果
- 就業開始時期:卒業後か、即日勤務開始かを明確に記載
採用の目的と申請人の適性が論理的に結びついていることが、審査官に納得してもらうための鍵になります。
4. 職務内容 ― 専門性のある業務を具体的に
最後に、申請人が採用後に従事する具体的な職務内容を記載します。
「どんな仕事を、どのくらいの時間行うのか」を明確にしましょう。
- 日々の具体的な業務内容(複数業務を挙げるとより効果的)
- 想定される労働時間(原則1日8時間・週40時間程度)
注意点として、「技術・人文知識・国際業務」ビザの対象は専門的・技術的な業務に限られます。
単純作業(現場作業、接客、清掃など)を中心に記載すると、在留資格に該当しないと判断されるおそれがあります。業務内容の記載には十分注意してください。
まとめ
申請理由書は、企業の信頼性 × 申請人の適格性 × 業務内容の妥当性を入管に伝えるための重要書類です。
「誰が」「なぜ」「どのように働くのか」を一貫したストーリーとして構成することで、審査官にとって分かりやすく、説得力のある申請になります。
