特定技能外国人を受け入れるために必要な企業側の要件
受け入れるために必要な企業側の要件
特定技能外国人を受け入れるためには、受け入れる企業(受入機関)が一定の基準を満たしていることが求められます。
これらの要件は、外国人の方が安心して働ける職場環境を整えるため、そして企業が適正に制度を利用できるようにするためのものです。
ここでは、企業が確認しておくべき 13の要件 をわかりやすくご紹介します。
① 労働・社会保険・税金のルールを守っていること
労働基準法や社会保険、税金に関する法律をきちんと守っていることが前提です。
社会保険料や税金の未納がある場合は、受入前に納付しておく必要 があります。
② 1年以内に同じ仕事の従業員を会社都合で辞めさせていないこと
特定技能外国人と同じ業務に従事する従業員を、会社の都合で解雇などしていないことが求められます。
これは、「人手不足を補うための制度」という趣旨に反しないようにするためです。
契約前1年以内だけでなく、契約後も非自発的な離職者を出さないようにすること が大切です。
③ 過去1年以内に、会社の問題で行方不明者を出していないこと
給与の未払いなど、会社側に責任がある問題によって、特定技能外国人が行方不明になったケースがないことが必要です。
受け入れ後も、外国人が安心して働ける環境を維持することが求められます。
④ 出入国管理法や労働関係法令などに違反していないこと
次のような場合は、受入れが認められません。
- 禁錮以上の刑に処せられたことがある場合
- 技能実習生の受入れで認定取消を受け、その日から5年以内の法人・役員
- 出入国管理法や労働法令に違反した経歴がある場合
⑤ 特定技能外国人の活動内容を記録し、1年以上保管していること
特定技能外国人の勤務内容や雇用状況をまとめた記録を作成し、雇用契約が終わった日から1年以上保管 しておく必要があります。
記録には、以下のような情報を含みます。
- 基本情報(氏名・国籍・在留資格など)
- 勤務場所や仕事内容
- 雇用・社会保険・労災保険の加入状況
- 賃金や勤務日数、休暇の取得状況 など
⑥ 外国人が保証金などを支払っていないことを確認していること
外国人本人や家族が、仲介業者などに保証金を取られているような場合は問題です。
そうした事実を知りながら契約を結んではいけません。
⑦ 違約金などを定めた契約を結んでいないこと
退職した際に違約金を支払わせるような契約は、原則禁止 です。
自由に職場を選べるようにするためのルールです。
⑧ 支援にかかる費用を外国人に負担させないこと
特定技能1号の外国人に対して行う支援(生活サポートや日本語学習支援など)にかかる費用は、すべて企業が負担 します。
外国人本人に費用を請求することはできません。
⑨ 派遣社員として受け入れる場合の要件
特定技能外国人を派遣社員として受け入れる場合は、派遣元だけでなく派遣先も一定の基準を満たす必要があります。
派遣先企業も、①法令を守っていること、②非自発的離職者を出していないこと、③行方不明者を出していないこと、④欠格事由に該当しないこと、が求められます。
⑩ 労災保険の手続きを済ませていること
特定技能外国人にも労災保険が適用されるように、労災保険関係の成立届 をきちんと提出しておく必要があります。
⑪ 雇用契約をきちんと継続できる体制があること
事業の安定性や継続性も重要です。
たとえば赤字決算や債務超過がある場合は、第三者(公認会計士・中小企業診断士など)の経営評価書 の提出が求められることもあります。
外国人を安心して雇用できる体制を整えておくことが大切です。
⑫ 報酬は銀行振込などで支払うこと
給与は、外国人本人の同意を得た上で預金口座への振込 で支払う必要があります。
現金手渡しではなく、記録が残る方法で支払うことが求められています。
⑬ 分野ごとの特有の基準に適合していること
特定技能制度は16の産業分野に分かれています。
それぞれの分野ごとに、所轄省庁が定めた独自の基準があり、その分野特有のルール にも適合していることが必要です。
まとめ
これらの13項目を満たすことで、企業は特定技能外国人を正式に受け入れることができます。
少し複雑に見える制度ですが、しっかり準備を整えておけばスムーズに受入れが可能です。
当事務所では、受入企業様がこれらの要件を満たすための確認・書類作成・申請サポートまでトータルでお手伝いしております。
「特定技能の受入れを検討している」「制度の詳細を知りたい」という企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。
