外国人社員が休職・産休に入ったらビザはどうなる?企業が知るべき対応
外国人社員が休職・産休に入ったらビザはどうなる?企業が知るべき対応
外国人社員が産休や病気療養などで長期間休職に入る場合、在留資格(就労ビザ)に影響が出るのではないかと不安に感じる企業も多いのではないでしょうか。
在留資格は「日本での活動内容」に基づいて許可されるため、活動が一時的に止まると、場合によっては更新や継続に支障をきたすこともあります。
本記事では、行政書士が企業担当者様向けに、外国人社員が休職・産休に入った際の在留資格上の注意点と正しい対応方法をわかりやすく解説します。
1. 休職・産休中の基本的な考え方
就労ビザ(例:「技術・人文知識・国際業務」「技能」など)は、あくまで「日本での就労活動」を前提に付与されます。
そのため、長期間にわたって働いていない場合、「活動実態がない」とみなされるおそれがあります。
しかし、産前産後休業や育児休業、病気による休職などが“正当な理由”であれば、原則として在留資格は維持可能です。
入管庁も「やむを得ない事情による一時的な活動停止」として柔軟に扱っています。
2. 「正当な理由」と認められる主なケース
以下のようなケースは、在留資格上も問題のない休職と判断されることが一般的です。
| ケース | 内容・留意点 | 
|---|---|
| 産前・産後休業、育児休業 | 労基法・育児介護休業法に基づく制度。復職予定があればビザ維持可能。 | 
| 傷病による休職 | 医師の診断書などがあれば正当な理由とされる。 | 
| 一時帰国中の休職 | 雇用継続・復職予定が明確であれば問題なし。 | 
一方で、「無断欠勤」「所在不明」「就労意思がない」などの場合は、在留資格取消し(入管法第22条の4)の対象になることもありますので注意が必要です。
3. 企業が行うべき対応ポイント
外国人社員の在留資格を守るためには、企業側の対応が非常に重要です。以下の点を必ず確認しておきましょう。
① 雇用関係の継続を明確にしておく
休職期間中も雇用契約が継続していることを社内文書で明示しておくことが大切です。
退職扱いとしてしまうと、在留資格の根拠がなくなってしまいます。
② 入管への届出を忘れずに
外国人本人または受入れ企業は、活動に変更があった場合に「所属機関に関する届出」を行う義務があります。休職が3か月を超える場合は、念のため活動状況届出を提出しておくと安全です(入管法第19条の16)。
③ 証明書類を整備しておく
更新時に「この期間は働いていない」と質問される場合があります。
次のような書類を準備しておくとスムーズです。
- 休職理由書(会社作成)
 - 医師の診断書
 - 復職予定日が記載された社内文書
 - 雇用契約書の写し など
 
4. 育児休業中の在留資格更新について
育児休業期間中でも、復職予定が明確で雇用が継続している場合は、在留資格の更新が認められます。
この際、次の資料を添付して更新申請を行うと安心です。
- 育児休業に関する会社証明書
 - 復職予定日を記載した文書
 - 過去の給与明細・雇用契約書の写し
 
5. 注意が必要なケース
| 状況 | 対応・リスク | 
|---|---|
| 無断欠勤や長期不明 | 「活動実態なし」と判断され、在留資格取消しのリスク | 
| 会社が雇用契約を終了 | 30日以内の出国または新たな在留資格への変更が必要 | 
| 他社でのアルバイト | 「資格外活動」に該当し、別途許可が必要 | 
まとめ:企業の適切なサポートでトラブルを防ぐ
| チェック項目 | 対応の要点 | 
|---|---|
| 正当な理由の有無 | 産休・育休・病気などならビザ維持可能 | 
| 雇用継続の明示 | 契約書や社内文書で明確に | 
| 入管届出 | 休職3か月超なら届出推奨 | 
| 更新時の証明 | 理由書・診断書・復職予定を提出 | 
まとめ
外国人社員の休職・産休対応では、在留資格の維持判断や入管への届出タイミングなど、細かな実務判断が求められます。当事務所では、企業様向けに「外国人雇用・在留資格管理」に関する無料相談を実施しています。
- 休職中の社員の在留資格をどう扱うべきか?
 - 更新時にどの書類を出せばいいか?
 - 育児休業中のビザ更新の注意点は?
 
といったお悩みがある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
