配偶者ビザで就労は可能?
日本に住む外国人の中には、日本人と結婚して「日本人の配偶者等」ビザを取得し、日本で働いている方が多くいます。
配偶者ビザは就労ビザと異なり、職種や雇用形態の制限がなく、幅広い仕事に就けることが大きな特徴です。
本記事では、配偶者ビザで働く際のポイントや注意すべき点について、分かりやすく解説します。
配偶者ビザは制限なく就労が可能
配偶者ビザとは、日本人と結婚した外国人が取得できる在留資格で、日本での活動にほとんど制限がないことが大きな特徴です。
就労ビザのような職種・働き方の制限もないため、幅広い仕事に就くことができます。
ここでは、配偶者ビザで働く際の主なポイントや注意点についてわかりやすく解説します。
配偶者ビザで働く際の主な特徴
1. 学歴や経験が問われない
配偶者ビザでは、学歴や職務経験が審査基準にならないことが大きな特徴です。
一方、就労ビザの場合は以下のような条件が求められます。
- 大卒・専門卒などの学歴
- 10年以上の実務経験(学歴が不足する場合)
これらの条件を満たさないと就労ビザは取得できませんが、配偶者ビザは次の3つの要件を満たせば取得可能です。
- 法的に婚姻手続きが完了している
- 婚姻の実体(夫婦としての共同生活)がある
- 生活を維持できる経済基盤がある
つまり、日本人と結婚しているという事実があれば、学歴や経験に関係なく働くことができます。
2. 職種を自由に選べる
配偶者ビザは、就労に関する職種の制限がありません。
そのため、以下のような幅広い働き方が認められています。
- 一般企業での勤務
- 飲食・販売・工場などの現場仕事
- 専門職
- 自営業・会社設立
就労ビザは職種が細かく限定されますが、配偶者ビザでは自分のスキルや適性に合った仕事を自由に選べるという大きなメリットがあります。
3. 雇用形態の制限がない
配偶者ビザでは、働き方にも制限がありません。
- 正社員
- パートタイム
- アルバイト
- 業務委託/フリーランス
- 自営業
就労ビザでは、正社員のほうが審査に通りやすい傾向がありますが、配偶者ビザではどの雇用形態でも問題ありません。
そのため、家庭の状況に合わせて柔軟な働き方を選べるのが特徴です。
4. 就労時間の制限がない
配偶者ビザには 1日の労働時間や週の労働時間の上限がありません。
- フルタイムで働く
- パートタイムで働く
- 複数の仕事を掛け持ちする
いずれも自由です。
なお、似た名称の「家族滞在ビザ」は就労が基本的に禁止されており、働くには 資格外活動許可(週28時間以内) が必要なので、ビザの種類を間違えないよう注意が必要です。
5. 就労の義務がない
就労ビザの場合、仕事を辞めるとビザの要件を満たさなくなるため継続就労は必須です。
一方、配偶者ビザには働く義務はないため、
- 専業主婦(主夫)として生活する
- 一時的に休職する
- 転職まで時間を取る
といったことも問題ありません。
ただし、ビザ更新時には「夫婦が生活できるだけの経済基盤」が必要になります。
本人が働かない場合は、配偶者の収入が生活費を賄えることを示す資料(源泉徴収票・課税証明書など)が求められます。
配偶者ビザと就労ビザ・家族滞在ビザとの違い
| 項目 | 配偶者ビザ | 就労ビザ | 家族滞在ビザ |
|---|---|---|---|
| 就労の義務 | 義務なし | 義務あり | 義務なし |
| 就労時間 | 制限なし | 週40時間まで | 週28時間まで |
就労ビザ
就労ビザとは、日本で「働くこと」を目的とする外国人に対して発行されるビザです。
対象となる在留資格は、代表的な「技術・人文知識・国際業務」をはじめ、全部で16種類の専門的な職種が含まれます。
取得に必要な要件
就労ビザを取得するためには、該当分野における専門的な知識や技術を持っていることが求められます。
さらに、学歴(例:大学卒)や実務経験(例:10年以上)など、一定の基準を満たす必要があります。
就労ビザでの滞在中の義務
就労ビザで日本に滞在する場合、「仕事をすること」が前提となります。
就労が義務付けられているため、働かない状態が続くとビザの更新が難しくなる場合もあります。
また、就労時間は原則として 週40時間 とされており、それを超える時間は残業扱いとなります。
家族滞在ビザ
家族滞在ビザは、基本的に就労が認められていないビザです。
ただし、
「資格外活動許可」 を申請・取得すれば、一定の範囲でアルバイトなどの就労が可能になります。
▷ 就労できる時間は「週28時間まで」
資格外活動許可がある場合でも、働けるのは 週28時間以内。
これを超えて働くと、在留資格違反となり、今後のビザ更新にも大きな影響が出るため注意が必要です。
配偶者ビザを持つ外国人を採用する際のチェックポイント
配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)を持つ外国人を採用する際には、事前に確認しておくべきポイントがあります。採用後のトラブルを防ぐためにも、以下の項目を押さえておきましょう。
① 配偶者ビザを所持しているか確認する
外国人を採用する際は、まず在留資格の確認が必須です。
在留カードを提示してもらい、在留資格が「日本人の配偶者等」となっているかを確認してください。
日本人と結婚していても、ビザの切り替えをしておらず、別の在留資格のままになっているケースもあります。
「日本人の配偶者だから配偶者ビザを持っている」は誤解のもとです。
② 在留期間をチェックする
配偶者ビザの在留期間は、5年・3年・1年・6ヵ月の4種類です。
これは結婚期間や生活状況を踏まえて決定されます。
在留期限が近い場合、更新手続きが必要になるため、採用前に必ず在留期限を確認しておきましょう。
③ 結婚の状態を確認する
配偶者ビザは「日本人との婚姻状態」が要件のため、採用時点で結婚が継続しているかの確認が重要です。
もしすでに離婚している場合、配偶者ビザのままでは滞在できず、別の在留資格への変更が必要になります。
可能であれば、戸籍謄本などの公的書類の提出を受けると安心です。
④ 配偶者ビザは就労制限がなく自由に働ける
配偶者ビザは就労ビザと異なり、職種・雇用形態・就労時間の制限がありません。
そのため、勤務内容に縛りがなく、企業側も幅広いポジションで採用できます。
ただし、前述のようにビザの種類・在留期間・婚姻状況を確認しておくことが重要です。
配偶者ビザは自由度が高い一方、取得要件を満たしていることが前提だからです。
まとめ
配偶者ビザの外国人採用は、要件さえ満たしていれば非常に柔軟で活用しやすい在留資格です。
採用担当者は、次の4点を確実にチェックしましょう。
- 在留資格が配偶者ビザか
- 在留期間
- 婚姻が継続しているか
- 配偶者ビザは就労自由であること
これらを押さえることで、安心して採用活動を進めることができ、優秀な外国人材の確保につながります。
当事務所では、配偶者ビザを含む外国人採用に関するご相談を無料で承っています。
在留カード確認のポイントや、採用後に注意すべき点など、具体的なケースに沿ってアドバイスいたします。
「このケースは採用して大丈夫?」といったご不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
