外国人雇用の7つのポイント!
外国人を雇用する際には、在留資格の確認、労働条件の整備、日本語能力の把握、受け入れ体制の構築など、事前に準備すべきポイントが数多くあります。
これらを十分に確認しておかないと、本人だけでなく、既存の従業員や企業側にとってトラブルにつながる可能性もあります。
一つ一つの注意点を押さえ、適切なプロセスで採用を進めることで、外国人材の力を十分に活かし、企業の成長にもつなげることができます。
本記事では、外国人を雇用する際に特に重要となる7つのポイントをわかりやすく解説します。
1.在留資格を確認する
在留資格を持っていても、「自社の業務内容」と「在留資格で認められる仕事内容」が一致していなければ採用することはできません。外国人の在留資格は必ず「在留カード」で確認しましょう。在留資格の種類だけでなく、在留期間(有効期限) もチェックしたうえで、雇用の可否を判断することが大切です。もし在留期限が切れていたり、その在留資格で就労が認められない業務に従事させたりした場合、雇用主が「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」を科される可能性がありますので十分注意してください。
2.日本語レベルを確認する
どれほど高度な技術を持っていても、日本語力が不足していると日本企業では十分に実力を発揮できません。社内外のコミュニケーションが円滑に取れないことで、発注ミスやスケジュール調整のトラブルにつながる可能性もあります。日本語で話し、相手の意図を正しく理解できれば、業務はスムーズに進められます。日本語レベルは「日本語能力試験(JLPT)」で確認でき、N1~N5の5段階に分かれています(数字が小さいほど上級)。
ビジネスシーンでは一般的にN1またはN2程度の日本語力が求められます。
N3は日常会話をある程度理解できるレベル、N4は身近な話題について簡単な文章を読めるレベルとされています。
日常会話レベルの日本語しか理解できない場合、複雑なコミュニケーションが必要な職場では意思疎通が難しくなるでしょう。
ただし、工場など特定の現場ではN3・N4でも問題なく働ける場合もあります。
3.労働条件を理解しているか確認する
給与・就業時間・残業の有無などの労働条件は、雇用前に必ず説明し、本人の承諾を得る必要があります。しかし、日本語力が十分でない場合、内容を正しく理解できないことがあります。そのため、時間をかけて丁寧に説明し、理解しているかをしっかり確認することが重要です。可能であれば、外国人労働者の母国語で作成した労働条件通知書を用意すると、より確実に伝わります。また、労働条件を説明する際は 社会保険への加入要件についても必ず伝えましょう。外国人であっても、「常用雇用」に該当する場合は社会保険への加入が義務です。非常勤であっても、所定労働時間が常勤の4分の3以上であれば加入が必要となります。
加入義務があるにもかかわらず加入させない場合、雇用主が罰則の対象になる可能性があるため注意が必要です。
4.教育環境を整える
外国人労働者のスキルを伸ばすためには、教育体制の整備が欠かせません。単に業務マニュアルを渡すだけでは、内容を正しく理解できず、意図したとおりに業務が行われない可能性があります。
日本と海外では、仕事の進め方やビジネス文化が大きく異なることがあります。そのため、教育担当者がこまめにコミュニケーションを取り、上司が定期的に面談を行うなど、文化や仕事の違いを理解できるように丁寧なサポート を行うことが重要です。
また、教育担当者への負担が集中しやすいため、上司によるフォロー体制は必須 です。国籍が異なるスタッフ同士が協力し、円滑に業務を進められるよう、きめ細かいサポート体制を整えることが求められます。
5.日本人労働者に理解を求めておく
日本人と外国人では文化や価値観が異なるため、コミュニケーションや業務の進め方で支障が生じることがあります。相互理解が不足していると、対立やトラブルに発展してしまうことも少なくありません。重要なのは、日本人側が外国人労働者に合わせるだけでなく、外国人労働者も日本の文化や働き方を理解しようとする姿勢を持つことです。双方が歩み寄ることで、職場の人間関係が安定しやすくなります。
そのためには、日本人と外国人が自然に交流できる場を設けることが有効です。アイスブレイクとして食事会を開いたり、レクリエーションを企画するのもよいでしょう。こうした交流を通じて信頼関係が深まれば、日本のマナーや職場ルールについても、より受け入れてもらいやすくなります。
また、外国人が働きやすい職場づくりの一環として、帰国しやすいよう長期休暇制度を整えることや、宗教的配慮のある設備(礼拝スペースなど)の検討も効果的です。文化の違いを尊重しながら働ける環境を整えることが、定着の向上にもつながります。
6.採用・離職時に正しく届け出る
外国人を採用したとき・離職したときには、雇用対策法に基づき「外国人雇用状況の届出」を行う必要があります。届出の対象となるのは、日本国籍を持たず、在留資格が「外交」「公用」以外の方です。なお、特別永住者については届出の必要はありません。
届出では、外国人労働者の氏名・在留資格・在留期間などの基本情報を記載します。所定の書式を使用し、管轄のハローワークへ提出してください。
届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。外国人を雇用する事業所は、必ず忘れずに手続きを行いましょう。
7.人材紹介会社は慎重に選ぶ
信頼できる人材紹介会社の選定が外国人採用成功の鍵
外国人労働者を採用する際は、適正な「有料職業紹介事業」の許可を受けた人材紹介会社に依頼することが基本です。
職業紹介業を営んで報酬を得るためには、厚生労働大臣の許可が必要であり(職業安定法32条)、無許可で人材を斡旋している事業者も存在するため注意が必要です。
無許可のブローカー被害に注意
無許可業者による人材斡旋は、不適切なマージン請求、虚偽の経歴紹介、採用後のサポート放棄
など、事業者と外国人双方に深刻なトラブルを招くケースが報告されています。採用前には、
「有料職業紹介事業許可番号」の有無を必ず確認しましょう。
