在留カードの住所変更手続きはどうすればよいか?
在留カードに記載されている内容に変更があった場合は、出入国在留管理庁への届出が必要となります。なかでも「住所変更」は多くの外国人の方が経験する手続きですが、具体的にどのように進めればよいのか分からないという方も少なくありません。
今回の記事では、就労ビザを持つ外国人が住所を変更する際に必要な手続きや届出の方法について詳しく解説します。あわせて、住所変更以外に届け出が必要なケースや、変更手続きを行わなかった場合に生じるリスクについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
外国人が引っ越した際は在留カードの住所変更が必要
在留カードを持って日本に滞在している外国人が引っ越しをする場合、住所変更の手続きは必ず行う必要があります。
就労ビザの申請や在留資格の変更手続きは出入国在留管理庁で行いますが、住所変更の届出は市区町村役場(自治体)で行う点に注意しましょう。
同一の自治体内で引っ越す場合は、「転居届」を提出するだけで手続きが完了します。
一方、異なる自治体へ引っ越す場合は、まず現在の居住地の役所で「転出届」を提出し、「転出証明書」を受け取る必要があります。
その後、新しい住所地の役所で転出証明書などの必要書類を提出して、住所変更の手続きを行うという流れになります。
以下では、住所変更の具体的な手続きの流れを詳しく見ていきましょう。
在留カードにおける住所変更の進め方
在留カードを持つ外国人の住所変更手続き
ここからは、在留カードを持つ外国人が住所を変更する際の手続きについて、「同じ自治体内で引っ越す場合」と「異なる自治体へ引っ越す場合」の2つのケースに分けて説明します。
■ 同じ自治体内で引っ越す場合
同じ自治体内で住所が変わる場合は、「転居届」を提出します。以下のポイントに注意して手続きを進めましょう。
- 届出者:本人または世帯主(代理人による届出は委任状が必要)
- 届出場所:現在住んでいる自治体の役所・役場
- 手数料:無料
代理人に依頼する場合は、必ず委任状を用意しておきましょう。
住所変更の期限
転居届は「引っ越し日から14日以内」に提出する必要があります。
引っ越し後は片付けや手続きで忙しくなるため、早めに準備しておくことをおすすめします。
必要書類
同じ自治体内での住所変更には、次の書類を準備します。
- 転居届
- 本人確認書類(住所変更する方全員分の在留カード)
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- マイナンバーカードまたは住民基本台帳カード(交付者のみ)
特に在留カードは、住所の記載変更と本人確認の両方に必要です。忘れずに持参しましょう。
■ 異なる自治体へ引っ越す場合
別の自治体に引っ越す場合は、「転出届」と「転入届」の2種類の手続きが必要です。
以下の点に注意してください。
届出者:本人または世帯主(代理人の場合は委任状が必要)
届出場所:
- 転出届:引っ越し前の自治体の役所・役場
- 転入届:引っ越し先の自治体の役所・役場
- 手数料:無料
住所変更の期限
- 転出届:引っ越し前または引っ越し日から14日以内
- 転入届:引っ越し日から14日以内
どちらの届出も、期限を過ぎると手続きに時間がかかる場合があるため、余裕を持って行いましょう。
【転出届の必要書類】
- 転出届
- 本人確認書類(住所変更する全員分の在留カード)
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- マイナンバーカードまたは住民基本台帳カード(交付者のみ)
- 印鑑登録証(登録者のみ)
転出届の手続き後には「転出証明書」が発行されます。この書類は次の「転入届」で必要になるため、大切に保管してください。
【転入届の必要書類】
- 転入届
- 転出証明書
- 本人確認書類(住所変更する全員分の在留カード)
- マイナンバーカードまたは住民基本台帳カード(交付者のみ)
スムーズに住所変更を行うためには、事前に必要書類を確認し、転出・転入の両方の手続きを期限内に済ませることが大切です。
住所以外の在留カード記載事項を変更する場合の手続き
住所以外にも、在留カードに記載されている内容に変更が生じた場合は、居住地を管轄する地方出入国在留管理局へ届出を行う必要があります。
届出が必要な主な変更項目
以下の項目に変更があった場合、必ず届出を行いましょう。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
※参考:出入国在留管理庁「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」
届出の期限と手続き方法
上記の項目に該当する変更があった場合は、変更日から14日以内に「在留カード記載事項変更届出書」を提出する必要があります。
申請の際には、変更内容を証明できる資料の提出が求められます。
たとえば、結婚により氏名が変更された場合には、結婚証明書や新しいパスポートを証明書類として提出することで手続きが可能です。
在留カードの内容を更新しない場合の注意点
在留カードの内容を正しく更新しない場合、入管法および住民基本台帳法の両方で罰則の対象となる可能性があります。
入管法上の罰則
住所変更を含む届出を怠った場合、20万円以下の罰金が科されることがあります。
また、届出を怠ったり虚偽の内容を届け出たりした場合は、在留資格の取り消しにつながる恐れもあります。
住民基本台帳法上の罰則
正当な理由なく住所の異動届を提出しなかった場合、5万円以下の過料の対象となる場合があります。
これらの違反が記録されると、今後の在留資格更新や変更申請に悪影響を及ぼす可能性があるため、変更が生じた際は速やかに手続きを行うことが大切です。
まとめ
在留カードを持つ外国人が住所を変更する際は、
- 同一自治体内の引っ越しか、
- 他の自治体への引っ越しか、
によって手続き内容が異なります。 
いずれの場合も、引っ越し日から14日以内の届出が義務づけられています。
また、住所以外の在留カード記載事項(氏名・国籍など)に変更があった場合も、期限内の届出を忘れないようにしましょう。
当事務所では、就労ビザの更新・変更に関するご相談を無料で承っております。
在留カードや在留資格に関してお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
