【2027年施行】永住権は取り消される?税金滞納との関係や改正入管法を行政書士がわかりやすく解説【2/3】
2027年から追加される3つの取消事由
2027年4月1日の制度改正では、永住権(在留資格「永住者」)の取消事由が追加されます。
改正後の入管法では、新たな取消事由は大きく3つに整理できます。
① 故意に公租公課(税金・社会保険料など)を支払わないこと
② 入管法上の義務を正当な理由なく守らないこと
③ 一定の重大犯罪により拘禁刑を受けたこと
ここで重要なのは、いずれも通常の生活を送っている永住者を対象とする制度ではないという点です。
入管庁も、「制度の対象となるのは一部の悪質なケースであり、大多数の永住者を対象とするものではない」と説明しています。
① 故意に税金・社会保険料を支払わない場合
今回の改正で最も注目されているのが、税金や社会保険料の未納に関する規定です。
しかし、「滞納したらすぐに永住権が取り消される」というわけではありません。
法律でポイントとなるのは、「故意に支払をしないこと」です。
入管庁によれば、対象として想定されているのは、
・支払義務があることを理解している
・支払う能力もある
それにもかかわらず、意図的に支払わない
といったケースです。
例えば、
・住民税
・所得税
・国民健康保険料
・国民年金保険料
などの公租公課について、支払能力があるにもかかわらず長期間支払わないような場合が想定されています。
一方で、「一度だけ納付を忘れた」「納期限を少し過ぎてしまった」「支払いが遅れたが後日納付した」
といった事情だけで、直ちに取消しの対象となるわけではありません。
病気や失業で支払えない場合は?
「病気で働けなくなった。」「会社が倒産して失業した。」
このような場合まで取消しの対象になるのでしょうか。
入管庁は、病気や失業など本人に責任があるとはいえない事情で支払えなかった場合は、在留資格を取り消すことは想定していないと説明しています。
つまり、制度が対象としているのは、支払えるにもかかわらず故意に支払わないケースです。
② 入管法上の義務を守らない場合
2つ目は、入管法で定められている義務を正当な理由なく履行しない場合です。
ここでいう義務とは、永住者が守るべき義務のうち、罰則によって履行が担保されているものを指します。
一方で、入管庁は、「在留カードをうっかり携帯し忘れた」「在留カードの更新申請を失念した」といったケースについては、取消しの対象とすることは想定していないと明言しています。
そのため、通常どおり在留カードの更新や各種届出を行っている方であれば、過度に心配する必要はないでしょう。
③ 一定の重大犯罪で拘禁刑を受けた場合
3つ目は、一定の重大な犯罪により拘禁刑に処せられた場合です。
対象となる犯罪は限定されており、入管庁では例えば次のような犯罪を挙げています。
- 窃盗
- 詐欺
- 恐喝
- 殺人
- 危険運転致死傷 など
これらはいずれも故意に行われた犯罪が対象です。
一方で、
- 過失運転致死傷
- 一般的な道路交通法違反
- 罰金刑のみで終わる事案
については、この新たな取消事由の対象ではないとされています。
もともとの退去強制制度との違い
ここで注意したいのは、今回追加された取消事由とは別に、現行法の退去強制制度が存在することです。
例えば、永住者であっても、1年を超える実刑判決を受けた場合には、罪名によっては退去強制の対象となる場合があります。
つまり、
- 今回追加された取消制度
- 従来からある退去強制制度
は、それぞれ別の制度として理解することが大切です。
この章のポイント
今回の制度改正で追加された取消事由は、次の3つです。
- 故意に税金や社会保険料を支払わないこと
- 入管法上の義務を正当な理由なく履行しないこと
- 一定の重大犯罪で拘禁刑を受けること
ただし、いずれの場合も、形式的に該当しただけで直ちに永住権が取り消されるわけではありません。
実際には、事実関係の調査や本人からの意見聴取を経たうえで、個々の事情を踏まえて慎重に判断されます。
