【2027年度開始】入管がSNSをAIで24時間監視へ|不法就労助長罪にも影響
2027年度から、出入国在留管理庁(入管)がAIを活用したSNSのクローリング(自動巡回・監視)を開始する予定であることが公表されました。
X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、TikTokなどのSNS上に投稿された情報をAIが24時間自動で分析し、不法就労や違法求人の発見につなげることが目的とされています。今回は、この制度が導入される背景や対象者、法的な論点、事業者が注意すべきポイントについて解説します。
AIによるSNS監視が導入される理由
近年、不法就労者を対象とした違法求人がSNS上で数多く確認されています。
例えば、「ビザ不要」「身分証不要」「日払い・高収入」といった、不法就労を前提とした募集が投稿されるケースがあります。また、偽造在留カードの売買や、不法就労のあっせんも一部のSNSで行われているとされています。これまでは、人手による監視や通報が中心であったため、24時間体制で監視することは現実的ではありませんでした。そこで、AIを活用して自動巡回を行う体制へ移行することになったと考えられます。
AIはどのように監視するのか
AIはWebサイトやSNSを24時間巡回し、キーワードや文章の意味を分析します。最新のAIは、大規模言語モデル(LLM)を活用することで、日本語だけでなく外国語にも対応できます。さらに、
・犯罪グループが使う隠語
・新しいスラング
・過去の摘発事例
などを学習することで、検知精度を高めることも可能です。AIが危険性の高い投稿を検知すると、人間の担当者が内容を確認し、必要に応じて調査や捜査へ移る流れになると考えられます。
誰が取り締まりの対象になるのか
主な対象は次の3者です。
① 不法就労をしている外国人
例えば、在留期限を過ぎて滞在している不法残留者、就労資格がないにもかかわらず働いている方などが対象になります。
② 不法就労をさせている雇用主
こちらが企業にとって最も注意すべき点です。外国人が不法就労者であることを知りながら雇用した場合だけではありません。在留カードや就労資格の確認を十分に行わず雇用した場合にも、「不法就労助長罪」が成立する可能性があります。
③ 偽造在留カードのブローカー
偽造在留カードの製造・販売・あっせんを行う者についても、警察と連携して摘発が進められると考えられます。
不法就労助長罪とは
外国人を雇用する企業が最も注意すべき法律です。現在、不法就労助長罪の法定刑は「3年以下の懲役300万円以下の罰金またはその両方」となっています。さらに今後は、より厳しい罰則への見直しも予定されています。
「知らなかった」では済まない場合も
雇用主からは、「採用時には在留カードを確認していた」「その時は有効だった」「期限切れとは知らなかった」「偽造カードに騙されただけだ」という説明がされることがあります。しかし、不法就労助長罪は、雇用時だけでなく雇用後も適切な確認・管理を行うことが求められます。つまり、「知らなかった」という理由だけで責任を免れるとは限りません。定期的に在留期限や就労資格を確認するなど、継続的な管理体制が重要になります。
刑事罰だけでは終わらない
不法就労助長罪で処罰されると、刑事罰だけでは済まない場合があります。
例えば、特定技能外国人、技能実習生などを受け入れている企業では、受入れ停止などの行政処分を受ける可能性があります。今後の外国人雇用にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、十分注意が必要です。
匿名アカウントでも安心とは言えない
「匿名だから特定されない」と考えている方もいるかもしれません。今回公表された資料では、IPアドレスの取得や情報開示請求についての具体的な記載はありません。しかし、AIによる分析を活用することで、
・投稿内容
・投稿時間
・関連アカウント
・SNS上の人間関係
などを分析し、人手では見つけられなかった関係性を把握できる可能性があります。今後は、あっせん業者や雇用主とのつながりも、AIによって芋づる式に把握されることが考えられます。
法的な課題も残る
一方で、この制度には課題もあります。
例えば、
・AIによる誤判定
・表現の自由
・プライバシー権
との関係です。冗談や比喩表現がAIによって誤認識される可能性もあります。また、AIの学習データに偏り(バイアス)があると、特定の国籍や言語に過剰反応するおそれもあります。そのため、最終的な判断は必ず人間が行い、必要に応じて第三者による監督体制を整備することが重要になるでしょう。
まとめ
2027年度から、入管はAIを活用したSNSの24時間監視体制を導入する予定です。今後は、不法就労だけでなく、不法就労を助長する求人や偽造在留カードの売買などに対する取締りが強化されることが予想されます。
外国人を雇用している事業者は、
・在留カードの確認
・就労資格の確認
・在留期限の継続的な管理
をこれまで以上に徹底することが重要です。適切な雇用管理を行うことが、企業自身を守る最善の対策となります。当事務所では、外国人雇用に関するご相談や在留資格手続きのサポートを行っております。外国人雇用でご不安な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
